更新日: 2022-07-25
皆さんは世界で最も多く人を殺している生物が【蚊】であるということをご存知でしょうか?
「殺す」というと「野生動物から受けた傷によって死ぬ」ことを連想しがちですが、蚊に刺されることによって引き起こされる病気(ウイルス)である、マラリア・デング熱等の媒介によって年間約40万人以上の方が亡くなっています。(※流行のレベルによっては、死者数は100万人を超える年もあります。)日本国内の新型コロナによる死者が1.8万ほどですので、いかに恐ろしいかが分かります。
先に結論を述べさせて頂くとセブ島留学などでフィリピンに渡航する際には「マラリア、デング熱」の予防接種ワクチンは必ず必要というわけではありませんが、長期渡航の場合には必要に応じて予防接種とワクチン接種をお勧めします。
今回は日本人にとって知ってはいるけどあまり馴染みのない恐ろしいマラリア、デング熱という病気についてと、その予防方法や対処法について解説をしたいと思います。
マラリア原虫を保有しているハマダラカに刺されて感染する病気です。1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。
WHOによると世界では年間約2億人が感染し、約43万人(推計)が亡くなると言われ、マラリア死亡者の90%がサハラ以南のアフリカ地域に集中しています。
マラリアには5種類(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、サルマラリア)があり、その中でも一番悪性といわれているのが熱帯熱マラリアです。日本では1950年代以降のマラリア流行はなく、今現在は年間約60人の輸入感染症として届けられているのみにとどまっています。
ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症で、媒介する蚊が存在する熱帯・亜熱帯地域を中心に発生します。
4種類の型があり、比較的軽症のデング熱から、重症型はデング出血熱と呼ばれ、全世界では年間約1 億人がデング熱を発症し、約25 万人がデング出血熱を発症すると推定されています。
デング熱は、蚊に刺されてから発病するまでの潜伏期が3-14日(平均的には4-7日)とされており、発症すると発熱が2-10日続き、解熱後に発疹が見られる場合もあります。
デング熱はデング出血熱にならない限り死因となることは稀で、比較的軽症で済むことが多い病気です。
デング出血熱になると、突然の発熱から始まり、発熱が2-7日続き、41度に達することがあり、その名の通り皮膚の点状出血や鼻粘膜・歯茎などから出血が見られることがあります。発熱がおさまって快方に向かう場合もありますが、発熱がおさまるとともに循環不全・ショック状態となり12-24時間で死に至る場合もあります。いずれにしても、特に小さい子供が重症化する例が多いのが特徴です。
日本では輸入感染症としての発生が確認されており、2014年の夏季には輸入症例により持ち込まれたと考えられるウイルスにより150例以上の国内流行が発生しました。
フィリピンのマラリア患者発生数は年間4万人~10万人に上ります。前述のとおり、マラリアには5種類ありますが、このうちの一番重篤な状態に陥る「熱帯熱マラリア」は、発症から24時間以内に治療しないと重症化すると言われているおり、フィリピンのマラリア患者の約70%がこの「熱帯熱マラリア」に当たります。
フィリピンでは1998年に例年を大幅に上回る3万人余りのデング熱患者が発生し、死亡者数は440人に上りました。
デング熱患者は毎年6~10月の雨期に増加する傾向がありますが、雨季が長引いたり、デング熱を媒介する蚊の大量発生条件が整えば整うほど患者数・死亡者数が大幅に増える傾向にあります。
蚊にさされたからといって、必ずマラリアやデング熱を発症するとは限りません。
マラリア・デング熱ともに、蚊に刺された後一定の潜伏期間を置いて発熱の症状が現れます。発熱した場合、すぐに病院を受診しましょう。
マラリアのうち、「熱帯熱マラリア」は発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至るとも言われているため、治療は発熱からのスピードが重要です。
日本にいる場合は「いつ蚊に刺されたか」ということを小さなことと忘れがちになり、「発熱=蚊によるもの」という認識に至らないことが多いので、発熱をそのまま寝てやり過ごそうとしてしまったりしますが、普段から自分の健康状態を観察し、変化を見過ごさないことがとても大事です。
マラリア・デング熱ともにウイルスを媒体する蚊に刺されないようにすることがとても重要です。蚊の幼虫であるボウフラは水の中に生息しており、蚊は水まわりに多く発生します。
フィリピンは下水システムが整っていないため、水たまりが多く、また空き缶やゴミ袋にたまった水などが蚊を発生させやすい場所となっています。そういった場所に近づかないことで危険を減らしましょう。
※注1:飛行機搭乗の際、液体・スプレーともに機内持ち込みは容量に制限があるため、預入れ荷物の中に入れていくことをお勧めします。詳しいルールについては航空会社にてご確認ください。
また、マラリアには予防薬があります。 マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を服用していくことが望ましいとされていますので、長期滞在の方は渡航前に病院で相談してみるといいかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
マラリア・デング熱と聞くと、いずれも私たちが思い浮かべる印象はとても危険性の高い病気であることに違いありません。しかし、予めその病気の危険性や予防法・対処法を正しく理解・準備しておけば、それほど怖い病気ではないのではありません。
海外にいくということは、今までの環境とは異なるということを十分理解した上で対策を行い、避けられる危険は沢山ありますので、その国の事情や環境を事前によく知っておくことは大事ですね。
2008年に28才で会社設立。フィリピン留学専門エージェント「セブ島留学マスター」の運営を中心に、旅行会社や国内留学事業、Web制作事業、通販サイトなども運営。
長年フィリピンに精通していますので留学相談に限らず何でも相談してください。フットサルとキャンプ釣りなどアウトドア全般が好きです。