【2024年版】CEFR対応の資格と学習法とは?入試・留学に役立つ情報まとめ

公開日:2024-10-15 更新日: 2024-11-07

最近、英語に関するメディアや書籍などで「CEFR(セファール)」という言葉をよく耳にしませんか?

TOEICや英検、TOEFLは聞いたことがあるけど「CEFR」とは何なのかと疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

「新しい試験の名前?」

「どんな場面で使われるの?」

特にお子様の将来を考えている親御さんにとって、大学入試や就職でどのような影響があるのかは気になるところでしょう。

社会人で英語を学んでいる方にとっても、CEFRをどう活用すれば良いのか知りたいですよね。

そこで今回は「CEFR」について、各レベルの説明や英語力との相関、レベル測定方法、TOEICや英検などの他の試験との対応関係など、英語学習を頑張りたい皆さんに役立つ情報をまとめてご紹介します。

目次[開く]

CEFRってなに?

会議で話し合う様子

CEFRとは

「CEFR(セファール)」とは、外国語を学ぶ人の言語能力を示す指標です。

CEFRは「Common European Framework of Reference」の略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されます。約20年以上の研究を経て、2001年に欧州評議会(Council of Europe)によって作成されました。

CEFRは「何の言語をどの程度使ってコミュニケーションが取れるか」を客観的に評価し、言語レベルを明確に示す基準として活用されています。

なので英語だけではなく、ドイツ語やフランス語など、ヨーロッパ地域の様々な言語にも対応しています。

例えば自分のスキルを「英語はB2、フランス語はA2」のように簡潔に伝えられます。(レベル分けの詳細は後ほど説明します)

CEFRが作られた理由

CEFRが生まれたヨーロッパの全体では、55.9%の人が母語以外に2つ以上の外国語を学んでおり、1つの外国語を学習している人は99.8%に達するほどの多言語環境となっています。

特に医療の現場では、様々な国の言語が飛び交い、日常的に多言語でのコミュニケーションが求められます。

このような多様な言語環境に対応するため、複数の言語に共通する評価基準が必要となり、誕生したのがCEFRです。

現在、CEFRはヨーロッパ全体で広く利用され、その役割を果たしています。

多言語環境のヨーロッパ

ヨーロッパの地図を見ると、多くの国々が陸地でつながっていることが分かります。そのためヨーロッパ内の他国間を行き来しやすく、複数の言語が日常的に使用されています。

隣国にすぐ行ける環境の中で、自然と複数言語を使うことがヨーロッパの人々の間で習慣化し、多言語を学ぶ必要性が高くなりました。

日本の場合、国境を共有する隣国がないため、こうした感覚にはあまり親しみがないかもしれませんが、地方で方言が標準語と大きく異なる状況に似ているかもしれません。

CEFRが注目されている理由

私たちは一般的に「英検2級」や「TOEIC500点」といった形で、自身の英語力を可視化しています。

しかし、英検やTOEIC、TOEFLなど多くの英語能力測定方法がある中で、なぜCEFRが注目されているのでしょうか?

その理由は「各試験の結果を国外で評価する場合、比較しづらい」という点にあります。

試験ごとに異なる団体が管理・運営し、それぞれ独自の評価基準で採点を行っています。例えば、英検(実用英語技能検定)は公益財団法人日本英語検定協会、TOEICは一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営しています。

英検やTOEICは日本国内では広く知られていますが、海外では必ずしも同じような認知度があるわけではありません。

日本国内ではレベルが高いとされている「英検準1級」を海外でアピールしても、海外の学校や企業にはそのレベルの価値が十分に伝わらないことがあります。

特にセブ島留学や他の海外留学を考えている方にとっては、グローバルな視点で評価される指標が必要になります。英語力を身につけても、その結果が正当に評価されなければ意味がありませんよね。

実際のところ「セブ島留学」で知られるフィリピンのほとんどの語学学校は、レベルチェックテストにCEFRベースの評価基準が用いられています。

国際的に通用し誰もが理解できる言語力を示す基準が求められている中、誕生したのがCEFRになります。

CEFRは『その言語で何ができるか』を基準にし、世界中で理解される語学力の指標です。

日本国内でもCEFRは現在採用されており、大きな例としては2020年より開始された大学入試改革になります。大学受験では、民間の英語資格がCEFR基準で評価されます。

そのほか、日本国内の学校の授業内での英語レベル測定や、NHK英語講座がCEFRレベル別に再編成されるなど、様々な場面でCEFRが活用されています。

このように、CEFRは海外留学を目指す学生にとっても重要な指標になります。今後入試や就職活動の場でもCEFRが活用されることが予想されており、入試や就職活動でもCEFRの活用が進むため、理解しておくことが重要です。

CEFRの各レベルと英語力について

文部科学省[資格・検定試験とCEFRとの対照表]
【引用元】文部科学省[資格・検定試験とCEFRとの対照表]

CEFRの各レベルについて

外国語の4技能(読む、聞く、書く、話す)の習熟度および運用能力を「熟練した言語使用者」「自立した言語使用者」「基礎段階の言語使用者」の3つに分け「C2」「C1」「B2」「B1」「A2」「A1」の6段階で評価された、シンプルで分かりやすいレベル分けとなっています。

CEFRの評価基準は、以下の4点に基づいています。

  • すべての言語に共通して適用できること
  • 異なる言語の能力を同じ枠組みで比較できること
  • 知識量ではなく、「何ができるか」で評価すること
  • 学習者自身も判断できる評価枠組みであること

CEFRにおけるレベルの判断基準は単なる語学知識の量ではなく、実際にその言語をどの程度運用できるかを評価します。

英語以外の言語、フランス語やドイツ語、さらには日本語もCEFR対照枠が提供されており、CEFRの試験自体は存在しないことが特徴です。

以下にCEFRの各レベルの英語力でできることの具体例をリスト化した「CAN-DOリスト」と合わせて紹介します。

【引用元】文部科学省[CAN-DOリスト利用の方法と課題(投野委員発表資料)]

A1レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定100~119
実用英語技能検定(英検)1400~1699 (英検3級相当)
TOEIC L&R + S&W320~620
IELTS該当なし
TOEFL iBT該当なし

A1はCEFRで最も低いレベルとなり、英語を学び始めたばかりの人は「pre-A1」と呼ばれる準備段階に当てはまります。

基本的な単語や日常的な表現は理解できますが、会話を進めるには時間がかかるレベルになります。

CEFRで最も低いレベルですが、英語を学び始めたばかりの人は「pre-A1」と呼ばれる準備段階に当てはまることが多いです。A1レベルの具体例としては、以下のようなことができるとされています。

  • [ 聞く ]:非常にゆっくりと、意味が取れるように間を置きながら話してもらえれば、発話を理解できる
  • [ 読む ]:とても短い簡単な文章を、身近な単語や表現などを取り上げながら、一文一説ずつ理解することができる
  • [ 書く ]:簡単な表現や文を、一文ずつ書くことができる
  • [ 話す ]:ゆっくりとした繰り返しや言い換えに頼って、簡単な質疑応答に対応することができる

A1レベルは、英検3級相当の英語力を指します。A2レベル同様、難易度の高いIELTSやTOEFL iBTなどの試験では評価できません。

A2レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定120~139
実用英語技能検定(英検)1700~1949 (英検準2級相当)
TOEIC L&R + S&W625~1145
IELTS該当なし
TOEFL iBT該当なし

A2レベルは、CEFRの「基礎」レベルとして、下から2番目の位置にあります。

日常的な会話で必要な基本的な語彙やコミュニケーションスキルを身につけているとされています。

海外旅行で観光を楽しんだり、簡単なやり取りを行うことはできるものの、深い友人関係を築くほどの英語力には至りません。「CAN-DOリスト」では、4技能で以下のことができるとされています。

  • [ 聞く ]:ハッキリかつゆっくりとした発音であれば、具体的な必要性を満たせる程度に理解できる
  • [ 読む ]:よく使われる日常的・仕事関連の言葉で書かれた具体的で身近な事柄であれば、短く簡潔な文章を理解することができる
  • [ 書く ]:「and」や「but」「because」などの簡単な接続詞でつなげた、簡単な表現や文章を書くことができる
  • [ 話す ]:身近な日々の事柄について、直接的で簡単なコミュニケーションを取ることができる。自ら会話を進めることはできない。

A2レベルは、英検でいうと準2級程度の英語力に相当します。難易度が高いIELTSやTOEFL iBTなどの試験では、A2のような基礎レベルを測定することはできません。

B1レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定140-159
実用英語技能検定(英検)1950~2299 (英検2級相当)
TOEIC L&R + S&W1150~1555
IELTS4.0~5.0
TOEFL iBT42~71

B1レベルは、CEFRで下から3番目に位置する中級レベルです。基礎的な英語力を持っているものの、ビジネスやアカデミックな場面で活躍するには、まだ英語力が不十分なレベルになります。

「世界最大の英語能力指数ランキング」によると、日本の平均スコアはCEFR B1レベルに相当します。

B1レベルの英語力では、4技能で以下のことができるとされています。

  • [ 聞く ]:仕事・学校・余暇などの場面で普段出くわす、ごく身近な事柄について、標準語でハッキリと話されれば、要点を理解できる
  • [ 読む ]:簡潔で具体的な文章で、自分の専門・興味内のものであれば、十分に要点を理解できる
  • [ 書く ]:自分の関心がある身近な話題について、簡単な文章を作成することができる
  • [ 話す ]:身近で日常的な会話に、準備なしで参加することができる

B2レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定160~179
実用英語技能検定(英検)2300~2599 (英検準1級相当)
TOEIC L&R + S&W1840~1560
IELTS5.5~6.5
TOEFL iBT72~94

B2レベルは、CEFRで中上級に相当します。B2レベルに到達すると、B1レベルではできないような、ビジネスシーンでのやりとりが可能になります。

  • [ 聞く ]:身近な話題でなくても、個人間・社会・学問・職業の世界で出くわす話題について、標準語で話されれば理解できる
  • [ 読む ]:さまざまな目的や種類の文章を、独力でかなりのところまで読み解くことができる
  • [ 書く ]:さまざまな情報や議論をまとめ、自分の関心がある分野の幅広い話題について、明瞭かつ詳細な文章を作成することができる
  • [ 話す ]:ネイティブを相手に、お互いにストレスなく、流暢かつ自然に対話することができる

C1レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定180~199
実用英語技能検定(英検)2600~3299 (英検1級相当)
TOEIC L&R + S&W1845~1990
IELTS7.0~8.0
TOEFL iBT95~120

C1レベルは、CEFRの中で上から2番目に高いレベルであり、上級レベルの英語を駆使し、英語圏で問題なく自立できる能力を持っています。

CAN-DOリストでは、C1レベルの人は、4技能で以下のことができるとされています。

  • [ 聞く ]:自分の専門外の抽象的で複雑な話題の長い発話でも十分についていくことができる(耳慣れない話し方をする話者の場合は、細部を確認しなければならないこともある)
  • [ 読む ]:自分の専門外についての長くて複雑な文章でも、難しい箇所を繰り返し読めば、中身を詳細に理解することができる
  • [ 書く ]:複雑な話題について、明瞭にしっかりした構造を持って、理由や事例を付け加えながら文章を作成することができる
  • [ 話す ]:努力する必要がほとんどないほど、ラクラクと流暢かつ自然に言いたいことを表現できる

C2レベル

資格・検定試験対象スコア
ケンブリッジ英語検定200~230
実用英語技能検定(英検)該当なし
TOEIC L&R + S&W該当なし
IELTS8.5~9.0
TOEFL iBT該当なし

C2レベルは、CEFRにおける最上級のレベルであり、ほぼネイティブに匹敵する高度な英語レベルと見なされます。

CEFRの各レベルで何ができるかを示した「CAN-DOリスト」によるとB2レベルの人は、4技能で以下のことができるとされています。

  • [ 聞く ]:ネイティブにかなり早いスピードで話されても、話し言葉の種類に関係なく、難なく理解できる
  • [ 読む ]:抽象的で複雑な文章や、口語表現の多い文学などを含め、あらゆる書き言葉を実質的に理解して、批判的に解釈することができる
  • [ 書く ]:適切な文体と論理的な構成を用いて、明瞭かつ複雑な文章を作成することができる
  • [ 話す ]:慣用的な表現や口語表現を使いこなし、正確に細かいニュアンスまで相手に伝えることができる

英検やTOEFLやiBT、TOEICでは、C2に対応するスコアが設定されていないため、CEFRレベルを測ることはできません。

C2レベルを目指すのであれば、ケンブリッジ英語検定やIELTSなどの、C2レベルまで測定可能な試験を選んで受験する必要があります。

CEFRレベルの測定方法

結果を確認する様子

「試験が実施されていないのに、どうやってレベル分けするの?」という疑問があるかもしれません。

実際には、英検やTOEICといった試験の結果を活用し、文部科学省が発表しているCEFRレベルの対照表と比較することで、自分の英語レベルを確認することができます。

例えば英検準1級を取得した場合、CEFRレベルは「C1~B1」に相当します。なので英検2級を取得していることを根拠に「私の英語レベルはB1です」と説明できます。

取得した資格の結果をCEFRに置き換えて相手に伝えることができるため、海外でも自分の英語力を正確に評価してもらえます。

さらに、新たにCEFRのために試験を受ける必要がない点も、英語学習をしてきた人にとっては大きなメリットになります。

各資格・検定試験一覧

受験の様子

CEFRのレベルに対応している資格・検定試験は決まっています。

せっかく努力して試験に挑んでも、CEFRに対応していなければ勿体ないですよね。

だからこそ、まずは自分が持っている資格や、今後検討している検定試験がCEFRに対応しているかを事前にチェックすることが重要です。

試験の概要とCEFRとの関係性について、そして文部科学省のCEFR対照表には掲載されていない資格や検定試験についても併せてご紹介していきます。

【引用元】文部科学省[資格・検定試験とCEFRとの対照表]

ケンブリッジ英語検定

世界130か国以上で受験され、年間250万人が挑戦する試験で、大学、企業、政府機関を含む20,000以上の組織で認定・活用されています。

種類は5レベル8種類あり、自分の活用方法に合わせて選択が可能です。

CEFRの開発にも関与しているため、試験内容はCEFRと高い整合性を持っている点がケンブリッジ英語検定の大きな特徴です。

実用英語技能検定(英検)

実用英語技能検定(通称:英検)はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つのスキルがバランス良く評価され、日常生活からビジネス、学問に至るまで、実社会で必要な英語力を測ることが可能です。

小学生から社会人まで多くの人に受験されており、入試や単位認定、留学、通訳ガイド試験など、広い分野で利用されていることが特徴です。

TOEIC L&R(リスニング・リーディング)

「L&R」はリスニングとリーディングのテストで、リスニングは4つのパートに分かれており、日常生活やビジネスシーンをテーマにした内容が多く出題され、コミュニケーション能力が重視されます。

リーディングは3つのパートから成り、文法、語彙、読解力が問われます。

就職活動や企業での昇進・昇給に有利な資格として注目を集めています。

TOEIC S&W(スピーキング・ライティング)

「S&W」はスピーキングとライティングのスキルを測るテストで、スピーキング試験は対面式ではなく、パソコンとヘッドセットを使用して実施されます。

試験は、グローバル社会で活躍するための英語力を測ることを目的としており、試験内容も現実社会でのコミュニケーションに即した話題が中心となっています。

IELTS

海外留学や研修に向けて英語力を証明する必要がある方や、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの移住申請を行う方にぴったりのテストです。

IELTSはイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほとんどの高等教育機関で認定されており、日本の大学入試でも採用が広がっており、高い汎用性が大きな特徴です。

GTEC

GTECの英語4技能テストは、スコア形式で小学生から社会人まで英語力を測定できる試験です。

3種類のテストが用意されており、10タイプの問題形式に分かれているため、レベルに応じた英語力を継続的に評価できます。スコアの評価は、海外を含む多くの大学や短期大学の入試でも利用されていることが特徴です。

TEAP

主に高校生を対象として大学入試向けに設計された検定試験です。

日本における「大学教育に適した英語力」を評価するための構成となっており、試験内容は大学教育(留学を含む)で直面する場面を考慮して作られています。

難易度は英検®準2級から準1級程度に設定されており、日本の高校生の英語力を適切に測るレベルです。

「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を測定し、リーディング、リスニング、ライティングは筆記形式、スピーキングは1対1の面接形式で行われます。

TEAP CBT

TEAPと同様、高校生を対象とした大学入試に向けて設計された検定試験になります。

TEAPとの大きな違いは、リーディング、リスニング、ライティングがコンピュータ入力で行われ、スピーキングは録音方式で実施される点です。

様々な機能を利用して、より実践に近い英語を話す状況を設定し「思考力、判断力、表現力」といったアクティブラーニングの重要な概念に重きを置いています。

CBT(コンピュータベースのテスト)では、画像や映像を音声と同時に提示することで、受験者の思考力や判断力を問う内容となっています。

※TEAP CBTを認定する大学も増えつつありますが、現時点ではTEAPを認定している大学が多く、外部試験を利用した入試を目指す受験生には、TEAPのスコアを目標にすることをオススメします。

TEAP iBT

4つのスキル「読む」「聞く」「話す」「書く」を統合的に評価し、大学・大学院レベルで求められる英語力を測定します。

全てコンピューター上へ入力する解答形式で、自然科学や社会科学、芸術、学校生活に関するものまで幅広い出題テーマとなっています。

留学生活をシミュレーションするような「読んで」「聞いて」から「話す」「書く」という流れを含むIntegrated taskも含まれています。

より実践的な英語力が評価されることが特徴で、国内では大学・大学院入試や単位認定、教員・公務員試験、国際機関の採用など、多くの場面でスコアが活用されています。

その他の資格・検定試験

文部科学省が発表した「資格・検定試験とCEFRの対応表」には掲載されていない、他の資格や検定試験について、以下にご紹介します。

  • GMAT
  • CASEC
  • CAT4

【年代別】CEFRの日本人平均

日本人が試験を受けている様子

中高生

中高生の場合、TOEICやTOEFLなどの試験を受ける機会はほとんどないため、英検を参考にしてみましょう。

文部科学省の令和5年度の英語教育実施状況調査の結果によると、中学3年生でCEFR A1レベル相当以上の英語力を有すると思われる生徒の割合は22.1%、高校3年生でCEFR A2レベル相当以上の英語力を有すると思われる生徒の割合は23.2%%です。

英検で換算するとCEFR A1レベルは英検3級相当、CEFR A2レベルは英検準2級に相当します。

中学生で標準的な英語力を目指すのであれば英検3級(CEFR A1)、高校生なら英検検準2級(CEFR A2)に合格することを目標にしましょう。

【引用元】文部科学省[令和5年度「英語教育実施状況調査」概要]

大学生

2021年度における学生のTOEIC平均スコアは586点です。TOEIC586点はCEFRでB1に相当します。

学生として平均的な英語力を目指すのであれば、上記の資格・検定試験のいずれかで、B1に相当する級やスコアを取得することを目標にしましょう。

【引用元】TOEIC®Program [DATA&ANALYSIS 2022 2021年度受験者数と平均スコア]

社会人

2021年度の日本社会人のTOEIC平均スコアは640点で、CEFRのB1レベルに相当します。

これを基準にすると、社会人の英語力はB1レベルとなります。英語を使う職場や外資系企業にお勤めの方は、B2レベル以上に達する可能性も高くなるでしょう。

ただし、TOEICは英語を学習している人が受験するため、日本全体で見るとCEFRの平均はB1〜B2よりも低めになると考えられます。

社会人として平均以上の英語力を目指すには、B1〜B2に対応するスコアや資格を取得することが目標となります。

【引用元】TOEIC®Program [DATA&ANALYSIS 2022 2021年度受験者数と平均スコア]

TOEICとCEFRにおける日本人の課題

一般的にTOEICはリスニングとリーディングの2技能が中心です。

海外留学、特にフィリピン留学では、CEFRによるレベル分けテストが行われますが、日本人の多くはA1またはA2レベルに位置づけられます。

大学生以上がCEFRのB1レベルを目指すのが望ましいとされていますが、これはTOEIC(リスニングとリーディング)の結果における目標であり、日本人はスピーキング能力が低い傾向にあるため、スピーキングを含めたレベル分けではB1以上に達する人は少ないのが現状です。

CEFRのレベルを上げるために必要な勉強時間

勉強時間を測っている様子

CEFRを基準に英語力を高める上で、次のレベルに進むにはどれほどの学習時間が必要か、気になるところですよね。

ケンブリッジ大学英語検定機関によると、CEFRのレベルを上げるには、目安として200時間ほどの学習を推奨されていますが、学習状況により異なります。

学習者の年齢やこれまでの学習歴、日常生活でどれだけ英語を使っているか、そして学習への取り組み方によって、必要な時間は異なります。あくまで200時間は目安として捉えましょう。

CEFRを意識した英語学習における7つのポイント

学習に取り組む様子

現時点のCEFRレベルを知っておく

英語をCEFR基準で学習する場合、最初に現在の自身のCEFRレベルを知ることが重要です。

CEFRレベルを確認する方法は主に2つあります。

1つは、取得した英語検定試験のスコアをCEFRに換算する方法です。文部科学省の「各資格・検定試験とCEFRの対応表」を参考にして、自分のレベルを見つけましょう。

もう1つは、CEFRに準拠した英語試験を受験し、直接レベルを測定する方法です。手間はかかりますが、ケンブリッジ英検などのCEFR基準の試験を受けることで、正確に自分のCEFRレベルを把握することができます。

目標設定

現状のレベルを把握したら、次に目標とするCEFRレベルに到達するための綿密な学習プランを考えましょう。

先述の通り、CEFRのレベルを一つ上げるには約200時間の勉強が必要とされています。現在「A2」レベルの人が「B2」を目指す場合、少なくとも400時間の勉強時間を確保する必要があります。

単語・文法をマスター

まずは語彙と文法をしっかりと強化していくことが重要です。CEFRレベルを上げるには、日常的な会話に加え、複雑な文章や自分の専門外の内容も理解できるような高度な語彙力と文法力が不可欠です。

単語帳以外にも、ラジオ英会話や英語ニュース、英字新聞、英語に関するメディアなど多様なコンテンツを利用して、実践で困らない語彙や文法の知識を増やしていきましょう。

正しい発音を知る

単語や文法を習得することに気を取られがちですが、最も重要と言えるものは「発音」です。

発音を早い段階で習得することで、英語の音を正しく認識し、単語やフレーズを正しい音とともに覚えることができるので、効率的に英語力を伸ばせます。

インプット・アウトプットを大切に

インプットにあたるのは「読む」「聞く」のスキルです。英語を素早く正確に理解することを目指し、日常的な会話からビジネスシーンまで、幅広い分野やスタイルの英語を用いてリーディングやリスニングの練習をしましょう。

インプットスキルを身につけた後は「書く」「話す」などのアウトプットスキルに力を入れましょう。

自分の知識をフルに活用して英語の文章を作ることです。ライティングとスピーキングは異なるスキルに見えますが、どちらも「英文を作る」という共通点を持っています。

英会話スクール・留学先の学校選びにて気を付けること

英会話スクールに通うかもしくは留学を検討されている方に向けた、正しいスクール選びにおいて注意すべき点は、以下の3点になります。

  • 英語力レベルの評価がCEFR基準か
  • スクール自体や使用する教材がCEFRに対応しているか
  • CEFRを意識したカリキュラムを取り入れているか

現在、グローバルな基準としてはCEFRが広く採用されており、それに基づいた学習環境を選ぶことが重要です。

CEFRは国際的な基準ですので、対応していない教育機関はカリキュラムが時代遅れである可能性もあります。

最新の基準を反映した教育プログラムを提供している、信頼のおけるスクールを選びましょう。

フィリピン留学ではCEFRの基準に沿って、留学生の英語力を測定している学校が徐々に増え、2024年ではほとんどの学校がCEFRレベル分けを取り入れている状況です。

資格・検定試験にて気を付けること

英検やTOEFLに挑戦することで、学習の進捗を確認する機会があると思います。その際CEFR基準の対応表を参考にして、自分のレベルを客観的に把握することが重要です。

試験の目標は、CEFRレベル分けの基準にあるように、高得点の取得ではなく取得した知識やスキルを今後どう活用できるかにあります。

自分がどれだけ英語を使えるかを測るための指標として、CEFRを常に意識することが大切です。試験対策のテキストも、CEFR対応のものを選ぶとより効果的です。

まとめ

仲間と楽しく歩く様子

以上「CEFRの概要とレベルの測定方法、TOEICや英検などの他の試験との対応関係」について解説しました。

文部科学省の対応や大学試験の状況を見る限り、今後日本国内でもCEFRは標準的な英語評価基準として広がっていくことが予想されます。

英語教材にもCEFRレベルが表示されることが増えるでしょう。

資格・検定試験の合否や高得点取得だけにこだわらず、実際の場面での活用を意識した学びと知識量が重要になります。

CEFRに対応した教材や学習環境を選び、自分のレベルを客観的に把握しながら、効果的な英語学習を進めていきましょう。

この記事を書いた人

宮川稔基

セブ島留学マスター代表

2008年に28才で会社設立。フィリピン留学専門エージェント「セブ島留学マスター」の運営を中心に、旅行会社や国内留学事業、Web制作事業、通販サイトなども運営。

長年フィリピンに精通していますので留学相談に限らず何でも相談してください。フットサルとキャンプ釣りなどアウトドア全般が好きです。

留学相談
\ 最低価格保証でフィリピン留学のお申込できます /